駆除釣り 2007~
外来魚の駆除釣りは、誰でも簡単に行えるの
が利点。
しかし数を釣るとなるとそれなりの技術が必
要になる。
駆除初期段階や駆除の最終段階では効果を発
揮する。
ただ駆除釣りのみで、オオクチバスとトンボへの
影響が大きいブルーギルを根絶まで持っていく
ことは難しい。希少トンボ保全では、複数の視
点から対策を試みて、効果を上げている。
2007年の試し釣りでオオクチバス、ブルーギル
が数多く生息するらしいことが分かった。
2008年 四つ池で釣りによる調査を行った。
2008年は、大型の個体(47㎝)左上のオオクチ
バスを含め、半日での結果。外来魚の爆釣状態
であった。
オオクチバス 17匹 ブルーギル 114匹
2009年から2017にかけて釣りにより捕獲された外来魚個体数(A池)
A池は岸周りの水深が深く、背負い式電気ショッ
カーを使った駆除作業が出来ないため、駆除釣
りを行ってきた。
結果として、ブルーギルのサイズが小型化してき
ているため、釣り針のサイズを落とし、エサを
ミミズを切ったものからサシに変更したことに
より、飛躍的に小型サイズのブルーギルが、捕
獲できるようになった。
2017年度
釣りにより捕獲された外来魚個体数 A池
2017年は、東京勤労者釣団体協議体(労釣連)の
方々のご協力もあり、5月中の捕獲数が圧倒的
に伸びた。
2017-05-19
東京労釣連に協力を依頼 A池の午前中の成果
トンボヤゴが池底から這い出して羽化するまで
の時期の駆除効果が効いて、A池のトンボ発生
は良好であった。
しかしまだ十分な数の減少までには至ってい
ない。これは、ブルーギル稚魚の歩留まり率
がアップしているためと思われる。
通常、稚魚の1年後の生存率は数パーセント
以下といわれているが、ブルーギル親魚によ
る稚魚の共食いが減ったため歩留まり率がア
ップしているものと思われる。
2009年4月より駆除釣りによる定期的な調査を開始
オオクチバス胃内容物は肉食魚特有の大型の生
き物で占められていることが特徴的であった。
四つ池では、共食いも顕著。
捕れたオオクチバスの半数以上の胃内容物は空
っぽであった。
肉食性の強い生き物の特徴をよく表している。
ブルーギル 胃内容物
ブルーギルについては、雑食性の傾向がみら
れ、常に胃の中には何かが入っている場合が
多かった。
その中でも特に昆虫類が多く、ブルーギルの
食害の影響は計り知れない。
トンボヤゴが春先羽化のため水面に浮上する
ときが一番被害が大きい。オオクチバス、
ブルーギル稚魚を食べている個体も数多く見
られる。共食いの傾向も顕著。
オオクチバス、ブルーギルが共存することで、
池の適正数が維持されていると思われる。
捕れた外来魚、堆肥として利用できるようにす
るため、平成26年度からC池にコンポスターを
設置。
トンボネット 2009 ~ 2013
利点: 外来魚特にブルーギルの食害からトンボ
ヤゴを保護するためネットを設置。
設置当初、様々なトンボが利用し、羽化も頻繁
に確認された。
欠点:ネットの目合いが1㎜と細かったため、池
に直接設置後3年で効果が半減、また池の想定外
の増水に対応できなかった。
水路遮断ネット 2009 ~
ネットの下部に錘のチェーンを取り付ける。
杭打ち、事業場内に生えている竹を有効利用。
池の水路の沖にネットを取り付ける。
四つある池をつなぐ水路部分をネットで遮断、
改良型では、板やスポンジをジャッキアップし
たでパイプで抑え、隙間を完全になくすことで、
管理を各池ごとに行えるようにした。
有効に水路遮断ネットが機能していた時期
人工トンボ池 2012~
池に隣接する空き地の部分に、大きめの容器を
設置。
そこに水草を移植し、トンボが利用できるよう
な環境を作り出した。
池本体では外来魚がまだ多数生息するため、外
来魚の食害がない空間を簡単に作り出せる利点
がある。
人工トンボ池 ビオトープに来ていた
オオモノサシトンボ
2014‐07‐24
まだオオモノサシトンボの繁殖は確認されてい
ないが、イトトンボ類やトンボ科のトンボには
盛んに利用されている。
事業所開設当初の1980年代から30数年を経た現
在、池周りには樹木が高々と生い茂る。企業敷
地内の緑化率は優秀であるが、もともと氾濫原
を住処としてきた生き物たちにとっては、日影
が増え、住みにくい環境になってきた。
また水辺に落ちる枯葉は、アメリカザリガニの
恰好のエサになるばかりでなく、樹木が作り出
す日影は、外来魚にも棲みかを提供することに
なった。
そこで水辺の日当たりを改善するため、NECと
手水研では、2016年から樹木の伐採を実行して
いる。あわせて抽水植物のマコモの移植を行っ
ている。トンボヤゴの棲みかを増やし、外来魚
の食害を防ぐためである。
2016年からNECと手水研が協働で行ってきた
樹木の伐採により、水辺の日当たりが改善し、
2017年には伐採箇所にあ
ったマコモが勢いを取り戻し、水辺にせり出
してきている。
マコモ・ハンゲショウの植生帯 → ショウブの群生帯に変化
ヒシは2014 年復活したが、2016年ではハゴロ
モモ・アサザに置き換わり、
2017年ハゴロモモに置き換わった。
四つ池周辺では水辺の植生帯(マコモ、ヒシ)に変
化が起こりつつあり、ここを好む希少トンボに
とっても大きな問題になりつつある。
また池に落ちた葉は、アメリカザリガニの大好
物であり、オオクチバスの捕食圧も減った結
果、アメリカザリガニの増殖に拍車をかける
結果になりつつある。(写真はB池)
2016年、B-C間水路にマコモの植栽を行った。
日当たりを改善するため、周囲の樹木の伐採
も行った結果、マコモは順調に育っている。
2016年度
水生植物繁茂状況
2016年からNECと手水研が協働で行ってきた樹
木の伐採により、2017年には伐採箇所にあった
マコモが勢いを取り戻し、水辺にせり出してき
ている。
抽水植物のマコモの移植は、根付きさえすれ
ば、他の浮揚植物よりも、外来魚の食害に対し
強靭である。
四つ池の水草の繁茂状況は、年によって変化
し続けている。
A池はコイが生息するため、ヒシなどの水草
が繁茂しない状況。
日当たりが比較的良好な場所にはマコモや
ヨシが繁茂し、イトトンボの発生場所にな
っている。
B池は、2007年当初はヒシがほとんどない状況
であったが、2014年に池全面を覆うまでになっ
た。
その後侵入した外来種のハゴロモモにとって代
わられて、現在に至っている。
C池は水路の一部にあったアサザが2014年ごろ
から繁茂し2016年は写真左の状況まで池を覆
うようになったが、2017年にはほとんど姿を
消した。
アメリカザリガニが増えた影響と思われる。
D池は2012年の池干し後、ヨシ、マコモ、ガ
マが繁茂してきている。ヒシも少しみられるよ
うになってきた。
オオモノサシトンボ 年代別 定量調査による発生数・箇所
産卵防止ネット 2013~ B池、C池
すり鉢状の形状の四つ池の岸沿いは、外来魚の
繁殖場所となっているため、目合い16㎜の動物
除けネットを池全周に張り、産卵するため岸沿
いへの侵入を阻止し、繁殖を抑制する目的で設
置している。
冬季、外来魚の動きが鈍い時期に電気ショッカ
ーとの併用で効果を上げている。
オオクチバスの産卵時期が、4月後半から5月。
水草が繁茂する前で産卵防止ネットが有効に
効いているため、特に効果的。
ブルーギルは繁殖期が6月から9月までと長期で
あるため水草の繁茂時期には、産卵防止ネット
下部の錘を持ち上げ、隙間ができ親魚の侵入を
完全に阻止できないため、オオクチバスに比べ
やや効果は薄れる。
オオクチバスの駆除が進むにつれ、アメリカ
ザリガニの増加が懸念されてきたため、2012
年からモンドリを設置し管理を行ってきている。
外来魚根絶にはある程度時間はかかるが、在来
生物へのダメージが少ないこの方法を採用して
いる。
電気ショッカー 2010~
全国内水面漁業連合会から貸与された背負い式
電気ショッカーを使用して、外来魚の駆除及び
生き物の調査を行っている。特に冬場から春先
の外来魚の繁殖期にかけて有効に機能してい
る。
在来生物へのダメージ軽減のため、最小限の
電圧で使用しているため、動きが活発になる
夏場には、効果的ではないように思われる。
2013年から設置を始めた産卵防止ネットとの
の併用で、期待以上だった。
2015年、2016年 A池で人工産卵床を設置し
効果を検証した。
2015年に1回はオオクチバスの産卵を誘致で
きたが、四つ池ではあまり効果的ではなかっ
た。四つ池A池は自然の産卵場所が数多くある
ため、人工産卵床は、外来魚には魅力的な産
卵場所ではなかったものと思われる。
2017-12-16 生き物観察会in我孫子
小鳥1羽で9万匹の虫を食べる。
2万×9万は18億匹!
食べられないことを考えると
さらに×α 18億匹×α
ゼニタナゴ人工池で観察会
NEC巣箱調査
40個の巣箱を四つ池周辺に設置
6/27は、最終調査とした。
幸い2番仔育雛中は無かったが、
スズメバチ営巣2個(計4個)
により、営巣12個。
今回結果の特徴は、ゴルフ場周辺に
架設を集中とスズメバチ営巣のため
により昨年比大幅減となった。
スズメバチ営巣例